パティシエール専門学校へいざっ!

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こんなに美味しそうなお菓子を作れるのに、お父さんから否定されるなんておかしい。 私はお父さんに微笑んだ。 「……君は一体……」 「他人の家庭に口を挟むのはあまり良くないのでは?」 そう言ってニコッと笑うとお父さんが目を見開いた。 それから吹き出した。 「確かにそうだ。それなら、聞かない代わりに俺が特別授業をしてやる」 お父さんがそう言うとスーツ姿の男の人が目を見開いた。 「ほ、本当ですか!?水瀬さん!!」 「ええ。この生意気な将来のパティシエールを鍛えたくなりまして」 「そ、それは……」 「三ヶ月ずっと授業をしてもいいと言っているんです」 「ありがとうございます!!」 頭を下げる男の人。 首を傾げると如月勇気に抱き着かれた。 「熊ちゃん!!やったじゃん!!」 「は!?ちょ、離して……」 「小動物」 水瀬千明が私と如月勇気に近付いてくる。 それから私の頭をクシャクシャと撫でた。 「お前スゲーよ」 「千明くん……?」 「お父さんを動かすなんて。……ありがとう」 嬉しそうに笑われた瞬間、ドクンと心臓が跳ねた。 何……これ……。 意味が分からなくて胸を押さえるともうさっきの衝撃はなかった。 なんだったんだ? 会議室から出て帰ろうとすると如月勇気に捕まった。 「くーまちゃん」 「ひっ!?な、何!?」 「もう帰るの?」 「そりゃ……」 「ねぇ。俺も家行っちゃダメ?」 「何でだよ!!」 私がそう言うと如月勇気は「だってー」と言って笑った。 .
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