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今風なら『ボブ』って言うべきだろうけど、アタシは必死に伸ばしてあれこれいじってきたのに、そんな、高速余裕でクリアのおかっぱちゃんとくっつくなんて、アタシの努力は何だったの?
筋違いすぎる逆恨みなのは判ってる。だからこの文句は誰にも言わなかった。言わずに飲み込んで黙って泣いた。
そして噂を耳にしたすぐの休日、アタシはそこそこ伸びた髪を切った。古風過ぎかもしれないけど、失恋の常套手段だもん。
また元のショートに戻した後、周りの友達は、結構似合っていたのにもったいないと言ってくれた。
根本的に乗りやすく、流されやすい性格だから、失恋の痛手はあったけれど、似合うならまた伸ばそうかなと、すぐにそんな考えを持った。
その時に、クラスメイトの男子がぽつりとつぶやいた。
短い方が似合ってると思うけど。
小学校から、かなりの頻度でクラスが一緒の男友達。よく喋るけれどそれだけで、意識したことは一度もなかった。
なのにこの一言だけで、なんだかかぁっと心の奥が熱くなった。
昔からショートばかりだから、この男友達はそっちを見慣れてての発言。そうだと思うけど。絶対、その程度のことなんだけど。
もう一度髪を伸ばそうと思った、その気持ちは…撤回。
髪型…完
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