由紀の体調と理香の心

2/7
652人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
 富士ランドは楽しかった。沙枝たちと一緒に行けたこともよかった。  部屋へ帰ると、由紀が具合が悪そうにしていた。  いつもなら寝てはいない人だ。ベッドの上にいても常に本を読んでいるか、勉強をしている。  その由紀がつらそうにして寝ている。 「大丈夫?風邪でも引いたの?」 と声をかける。 「うん、そうかも。食べられないの、起きていると頭がくらくらするし」 「なんか飲む?食堂からなにか暖かいものでももらってこようか」 「ううん、大丈夫」 「そう?」 「ありがと」  由紀が初めて見せる気弱な顔だった。  食堂にはいつも誰かスタッフがいる。  食事のしたく以外にも具合の悪い時、おかゆを頼むことができた。  時間に関係なく作ってくれる。家にいるときと同じ配慮だった。しかも学生の胃袋は、そう時間通りにはいかない。  翌朝も由紀はさえない顔をしていた。でも、授業に出るためにいつものように支度をした。  朝食は食べていない。どうしたのかと思っていた。  
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!