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富士ランドは楽しかった。沙枝たちと一緒に行けたこともよかった。
部屋へ帰ると、由紀が具合が悪そうにしていた。
いつもなら寝てはいない人だ。ベッドの上にいても常に本を読んでいるか、勉強をしている。
その由紀がつらそうにして寝ている。
「大丈夫?風邪でも引いたの?」
と声をかける。
「うん、そうかも。食べられないの、起きていると頭がくらくらするし」
「なんか飲む?食堂からなにか暖かいものでももらってこようか」
「ううん、大丈夫」
「そう?」
「ありがと」
由紀が初めて見せる気弱な顔だった。
食堂にはいつも誰かスタッフがいる。
食事のしたく以外にも具合の悪い時、おかゆを頼むことができた。
時間に関係なく作ってくれる。家にいるときと同じ配慮だった。しかも学生の胃袋は、そう時間通りにはいかない。
翌朝も由紀はさえない顔をしていた。でも、授業に出るためにいつものように支度をした。
朝食は食べていない。どうしたのかと思っていた。
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