第1章

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あかちゃんは お話のノートを 誰かに読んでもらったことはありません だって秘密なんですから でも なんだか 怒る気持ちにはなりません あおくんは とてもまじめな顔で一生懸命 時には おもしろそうに 時には優しい笑顔になります ずっとずーっと待っていました 「こんにちは」 あかちゃんは 勇気を100倍出して 声をかけました 「そのノートは 私のです 返してください」 「何か お気に入りのお話 ありました?」 「私は緋(あか)です」 「こんにちは ぼくは 碧(あお)です」 「このベンチ おれのお気に入りなんだ 今日 通りかかったら このノートが ベンチにあって 『早く読んで!』 って 言ってるみたいだったんだ 勝手に読んで ごめんなさい」
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