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【Side 101 Room.】
アパートの前に机と椅子が並べられて簡易的なクイズ席が作られます。私とお隣の部屋の男性がそれぞれパーテーションで区切られたその席に腰を下ろすと番組が再開。さっそくクイズの第1問目が告げられます。
第1問目のクイズの内容は「私の誕生日がいつか?」といった問題でございました。この問題の回答者はお隣に住む男性。これは私が正解をフリップに記し、お隣の男性がその日付を答える事が出来れば見事に正解といった形式となっています。
クイズ番組を盛り上げる為に男性の司会者が「おー、これはラッキー、常識問題ですよ!」と笑顔でおっしゃっておりますが、他人同然であるお隣の住人さんの誕生日を知っている方々がこの世界に一体何名程いらっしゃることでしょう?
常識的に考えて正解することなど不可能です。
私はフリップボードに答えである自分の誕生日の日付を記します。実は先週の日曜日に誕生日を迎えたばかりでありました。しかし、そんな事をお隣の男性は知る由もないでしょう。
時間の無駄としか思えないシンキングタイムが終了。「それでは同時にフリップを上げてください!」といった合図と共に私は回答の記されたフリップをカメラの前に掲げます。
ああ、これで開放されます……
そう思ったのも束の間、現場から「おおー」っといった歓声が漏れます。
「なんとぉ! 正解でぇーーすっ!」
底抜けに明るい女性司会者の声と共に「ピンポン、ピンポーン」と正解を祝す軽快なSEが鳴り響きます。
……えっ、嘘でしょう!?
なんで! どうして!?
お隣の部屋に住む男性の姿はパーテーションで区切られており、この席からは見ることができません。
嫌だ、何で! 怖い。怖い。怖い。怖い……
ドウシテ、アナタガ、シッテイルンデスカ――?
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