忍者

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 忍者がカラオケに行こうと誘ってきた。  なんのことかと思うかも知れない。  忍者とは、わたしの知り合いの久賀津忍のことだ。  くがつ、だとはまったくふざけた名前だとは思うし、忍と賀の組み合わせが、甲賀だとか伊賀を連想させるので、みんなから忍者と呼ばれるようになった。  七人、集められた。  槻田グループと佳苗グループ。  女子にもコネがあるなんて、意外だとも思った。  放課後。  ほとんど知らない異性のグループと通学路を歩くのは、新鮮だった。  緊張したとも言える。 「…………」  いつもはしゃいでる槻田すら、道中無言だった。  普段おとなしい有井に至っては押して知るべし。  ただ一人、 「え? マジ? やー、やっぱルミっちウケるわー。て、アレ? さおりん今日やたら静かくね?」  忍者だけは、元気だった。
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