1243人が本棚に入れています
本棚に追加
湊さんの誕生日をこうして一緒に祝うのも、これで三回目かぁ……
僕は湊さんが渚さんからのお祝いの電話を取りにいった間、湊さんの部屋で一人待たせてもらいながら、感慨に浸っていた。
この春から大学に通いだした僕は、相変わらず湊さんとお付き合いをしていて、最近ではこうして湊さんのお部屋に泊めてもらう機会も増えてきていた。
去年までは「上坂はまだ高校生だから、あんまり外泊してちゃだめだよ」と諭されて家に帰ることが多かったけど、僕も晴れて大学生になれたおかげで、以前よりも湊さんとの距離が近くなった気がする。
多少は二人の関係が発展したからこそ、僕には「今年こそ」と決意していたことがあった。
湊さんが電話から戻ってきたら……
緊張で口の中がからからになりながらも、僕はその決意を改めて固くする。
「ごめんねー、話の途中だったのに。」
湊さんは電話を切りながら戻ってくると、僕の隣に腰を下ろした。
大学に入ってからの湊さんは高校時代よりさらにかっこよくなって、僕はたまに真正面から見られなくなってしまうくらいだった。
高校時代だって十分かっこよかったのに、最近は大人っぽさが加わって、男の色気というかなんというか……ちょっと刺激が強すぎる。
「な、渚さん、お元気でしたか?」
海外の大学で研究活動を続けている渚さんについて僕が尋ねると、湊さんは苦笑いしながら言った。
「相変わらずみたいだよ。プレゼント贈ったから明日あたり届くってさ。上坂にもプレゼントあるらしい。」
「え、ぼ、僕にも?」
「前に上坂が美味しいって言ってたチョコレートを同封したって言ってた。明日届いたら一緒に食べようね。」
「は、はい!」
わーい!
あのチョコ本当に美味しかったんだよなぁ。
……って、そうじゃない。
そうじゃないよ、僕。
今日こそはって決めて来たんだから、い、言わないと……。
「あ、あの、湊さん。」
「んー?」
コーヒーを飲もうとマグカップに手を伸ばす湊さんの手を掴み、僕は以前湊さんとしていた約束を思い出す。
そういえば……
「上坂?」
不思議そうに首を傾げる湊さんを前に、僕の決意は揺らぎそうになった。
だけど、今日こそは……!
最初のコメントを投稿しよう!