第1章

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 読み終わったあと、女性は静かに考えたあと、僕にさっきの質問の答えを喋りだした。  「君は、自分に自信がないのかな?滑舌はいいんだけど、声や姿勢に元気がないというか、自信はないけど精一杯やってます!って感じしか伝わってこなくてさ。」  自分に自信を持っていない。確かに、どんな評価をもらえるんだろう?とか、大丈夫かな?とか、何かに対してビクビクしながらレッスンをしていたことがある。いや、今もそうに違いない。  「・・・はい。そうだと思います。他のみんなは僕と違って何でもやれる人ばかりで、どんどん自信がなくなってきていたのかもしれません。」  僕はやっぱり声優には向いていないのかもしれないな・・・。  「違うと思う。」 突然の言葉にびっくりした。呆れられるかと思っていたからだ。 そして、その女性は言葉を続けた。  「それは君が声優って夢を諦めようとしてるから、他と自分は違うからって勝手に思い込んで諦めているから何も上手くいかないんだと思うよ。 私は、どんなに下手な演技でも自分を信じて、自分なら出来るって思って演じてる人ほど輝いて見えるもんだよ。自分に自信のない演技を見たって何にも感じないし、何も伝わってこない。・・・君にはそれが足りないんじゃないかな。」
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