第3章 「 ファイナル・ステージへ 」

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顧問の先生達は口々に言った。 「ゆうき先生、これは皆さんがひとつに絞れないという 意思表示ではないかと思いますよ。」 「そうですねえ。 厳正な、というのは、ここでは難しそうです。 もしかしたら勝負がつかないなんてこともあるかもしれませんね。」 「いやいや。 それではここまで勝ち抜いた意味がありませんから。 それじゃあ、票数を教えてください。」 ゆうき先生は集計を見せた。 Y高校の先生が唸った。 「えっと、会場には大体何人が・・・はあ、510人・・・ それで、この集計を足すと、908人! はは・・・そうですか! もしかしたら、3校全部に挙げた人もいるかもしれないですなあ!」 「いるんですよ、だからこの数字なんですね。」 「本当なら足せば510なのですから・・・どうしましょうか。」 J高校の但馬先生が言った。 「私は、ゆうき先生にお任せしたいです。 ここまで盛り上がったのですから、会場の皆さんの気持ちを むげにはしたくありません。 なにより、ゆうき先生に、一度は審査をやり直していただいたので、 感謝していますから。」 そして、深々と頭をさげた。 全員が納得してうなずいた。 「そうですね。 最後は、ゆうき先生にお任せします。」 先生達が、ゆうき先生に握手を求めた。 ゆうき先生は、胸が一杯で、なにも言えずに、その手をひとりひとり 握り返した。
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