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その日を境に、ダンス部は変わった。
自分達のダンスにどんどんのめり込んでいく部員の姿を観て
納屋実とゆうき先生は音楽の力だと、裳狭に感謝した。
「こんなにぴったりの曲を見つけてくれるなんて、
どんなに感謝してもしたりないくらいだ!
それにしても、これだけの曲、どうやって?」
裳狭は音のレベルの細かい調整をしながら答えた。
「親も音楽好きだったんで、かなり幅広~く集めてました。
クラッシックからロック、演歌や童謡もあります。
ダンスに使えるのは、ほんの一部ですけど。」
部員達の目は真剣だった。
「先生、ここもっと大きく手を広げる方がいいと思うんですけど。」
「少し後ろに引く感じで踊っていいですか?」
「揃っておんなじ方向へ目線!いいねっそれでいってみようよ!」
納屋実が言った。
「私、わかった気がする。裳狭、みんなのパートでいいところだけ
とってくれたでしょう!みんな、この部分が踊りたいって顔してて。
そんなところ、全部拾ってくれたんだね!」
裳狭は笑った。
「だって、ビデオみたら、その部分だけやたらと嬉しそうに
踊ってたからね。そりゃあ、そういう顔みたいだろ?」
ゆうきがダンスのステップを踏みながら言った。
「こういう男子がいると、みんなやる気だしてくれるな!」
納屋実はうなずきながら言った。
「なにしろ、音感がいいよね。
これでダンスできないっていうのが不思議で仕方ない!!」
ゆうき先生は、裳狭に耳打ちした。
「モテモテだなっ!裳狭君!」
裳狭はまだ手が離せないからと笑いながら言った。
「今、手一杯なんで!」
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