第4章 「 これからのふたり 」

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ゆうきが向かったのは、K高校の先生達とよく行く洋風居酒屋 だった。 奥の個室に広いスペースがあって、丸い大きな回転するテーブルは 打ち上げにはもってこいだった。 「ああ、先生。お疲れ様でした。 先に飲み物を頼むと、後は料理をすぐ運んでくれるそうです。」 N高校の多岐ヶ彌先生が、席を勧めながら言った。 「皆さん生ビールだそうですよ。」 「じゃあ同じで。 皆さん、今日は大会にご参加いただきありがとうございました。 今ファミレスに行って、生徒達がいるのを確認しました。 あまり遅くならないようにと釘は投げておきました。」 「投げた・・・ははは!」 飯沼原先生が笑った。 「釘を刺したんじゃないんですね、後でメールしておきますか! お、ビールが来たぞ!」 乾杯をして、皆で食事をしながら反省会という名の飲み会が始まった。 「いやあ、それにしてもK高校のみなさんは、お行儀がいいですなあ。 あれだけ舞台裏でバタバタだったのに、きちんとしていて! ゆうき先生のおかげですねえ。」 「飯沼原先生、いやあやっぱりそうですよね!ははは!」 「あんたはちっとは生徒に感謝した方がいいですよ。」 「おそれいります。」 「・・・どうせそうですよ、うちが問題おこしたから。」 「但馬先生、何気にしてるんですか。」 「飯沼原先生は、勝つ気満々だったからね、ゆうき先生がつんと 言ってやってください、がつんと!」 但馬先生は優勝を逃して本当に悔しいと言った。 「J高校はね校長命令で、優勝してあたりまえってね! プレッシャーだったんです! ゆうき先生は、大会でいつも優勝 してるじゃないですか!それで教えるのも上手いなんて、ずるい です!」 「但馬先生、お酒に弱かったんですね・・・」 神無月先生はじっとゆうき先生を見て言った。 男らしい表情がお酒のせいか、和らいでいた。 「モダンバレエ、ダメですかー?」 「(うわ、こっちもか) いいえ?今回はうちの高校でやったんで 雰囲気的にはアウェーだったじゃないですか!ね?」 「そう・・・ですよね! あの、アウェーってなんですか?」 「あははは! ホーム、の逆ですねー!」 「え、ハウスですか?」 「なんでやねん!」 飯沼原先生、渾身のつっこみも天然神無月に通じず。
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