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第3話 「 吉良君は親友だな 」
吉良は、死神キラーズバンドを率いて、ライブを行っていた。
ほとんどの高校生バンドは、まだまだ本格的な音を出すには
程遠いと言われるが、負けん気だけなら、吉良は世界一だった。
「うおおおおおおおおおお!!!!おまえら今夜もついて恋!!!
いくぞ、滅多切りローーーーーーーック!!!!」
ガンガンガンガンガンガン!!!ババーーーーーーーーーン!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!
ドムドムドムドム!!!!!
ギュアアアアアアーーーーーーーーーン!!!
納屋実はライブハウスの前列で、しまったっ!!と思った。
このノリは知らなかったのだ。
吉良のメイクは確かに怖かった。恐怖以外の何者でもない。
ライブが終わって、次のバンドと入れ代わるところで、納屋実は
吉良に近づいた。
「凄かった!吉良君、ずっと叫んでたね!」
「そーいうこと!それよりどうだった?」
「うん、凄かった!」
「おまえ~~~~?!ノリが悪いだろ!」
「うん??」
「ダンスじゃないんだから、頭振ってみろよ!」
「今度はそうするよ!」
納屋実は、吉良の十字架のシルバーアクセに巨大な骸骨が
ぶら下がったネックレスと耳に黒ぶち小さなシルバーの剣のついた
ピアスから目が離せなくなった。
「ピアス、凄くかっこいいね!」
「あ、これ?ファンの子からもらった。」
「へ、へえ・・・」
「そーいえば、今日はモサモサ来てないんだな。」
「うん・・・ライブ苦手なんだって。」
「・・・まあいいや。
仲間に紹介すっか。みんなあっちで休憩してるから、こいよ。」
間仕切りの向こうに、関係者以外立ち入り禁止スペース、
つまり控え室があって、そこに3人が椅子に座っていた。
床も壁もお世辞にも綺麗とは言えない場所だったが、他の
バンド仲間とスペースを分け合って、荷物に触らない、
そういう決まりだけはきっちりしている感じがあった。
ライトももれないようになっていて暗かった。
バンドメンバーは4人だ。
ドラマーの九ベエと、ベースのハク、キーボードのヒトエ、
ボーカル兼ギターの吉良だった。
「みんな、この前話したダンス部のナヤミンだ。」
みんなナヤミンにちょっと頭を下げるような仕草をした。
「この前録音した曲が、ダンスミュージックになった。」
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