8人が本棚に入れています
本棚に追加
吉良は実は裳狭から借りてダンス部のビデオを観ていたのだ。
それから一週間後、裳狭が編集したビデオは、文化祭前に
全校生徒に文化祭の宣伝ビデオとして、昼休み流された。
「吉良が言ってた通りだ。あの娘だけ、別次元だな。」
吉良とは別のクラスのヒトエが、放課後の練習部屋で言った。
「今年はすげーんだってモサモサが言ってたから。
バトル、期待大だな。」
練習を始めてしばらくしたら、裳狭が入ってきた。
一曲終わった頃、吉良が裳狭に話しかけた。
「おお、モサモサ、今度の曲、もってくか?」
「え、もう出来たのか?すげーなー!」
「まだ、デモだから。もっと変わると思うんだが。」
「最終進化系になってないんだな。」
「そゆこと。まだまだなんだよ。」
皆が楽器を持ったまま、裳狭に挨拶した。
吉良はメンバーを紹介すると、裳狭に曲を聴いてくれと言った。
「感想、聞きたいってさ、メンバーも言ってるんだ。」
曲は、いつものハードロックとは違い、シャウトが少なめだった。
「どうしたんだ?いつもより勢いがないよな?」
「ちょい、考えたんだ。
なんか、俺、ナヤミンのダンス意識してるかもな。」
「へえ、そんな感じなんだ。」
「ホントはドラム先行でいこうかとも思ったけどさ。
俺らも文化祭で色々な曲が出来るって、やってみせたいんだ。
だから、これ、どうかって、モサモサに聞いてみようと
思ったんだけどうだった?」
裳狭はうなずいた。
「なんか、ストレートじゃなくてカーブ、みたいなやつだな。」
「おまえのたとえはわかりずらいよ!!」
「まてよ、俺は音楽好きだけど、好きか嫌いかしか言えないんだ。」
「それでいいよ、好きな曲か?」
「・・・好き、じゃないな。」
はあ~~~~~!
メンバーがため息をついた。
裳狭は慌てて言った。
「いやいや、俺が基準って、おかしいから!」
「いいんだよ。俺が、モサモサに聞きたかったんだから。
よし、じゃあ、もうひとつの曲、聴いてくれ!」
ワン・ツー・・・
ズダダダダダダダダズドドドドドド!!バンバンバンバン
「いいな!!こっちの方が断然いい!!」
最初のコメントを投稿しよう!