「ぜってえ付き合わない!」

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但馬はダンス部の大きな壁面に鏡のある練習場へ、急いだ。 J高校は様々な施設が整っていて、ダンス部の練習場も自慢の一つだ。 兎に角、床と壁面にこだわりがあった。 広さも通常の体育館の約半分、ここはダンス部とクラッシックバレエ ソシアルダンス部が共用で使用していた。 但馬が練習場に入ると、部長がすぐに音楽を止めた。 「先生、最初から観てくれますか?」 ダンス部のメンバーは、揃いの黒いTシャツ姿で、靴も ブレイクダンスができるようなもので統一されていた。 「じゃあ、始めます。レディ!」 全員がさっと4.5名のグループに分かれて、順に中央へ出てゆく。 音楽が流されると、ダンスバトルのワンシーンのようなダンスの 振り付けで踊りが始まった。 グループの先陣は男子の4名。 音楽は映画音楽をブレイクダンス風にアレンジした、オリジナルだ。 まるで現代の都会に昔の紳士でかっこいいギャングが現れたような 踊りで、本番ではダークスーツに帽子という姿。 次に踊るのは、女子5名。 今度は自由に生きる若者が、今のかっこよさを体現した踊りを 披露する。 3番目は男女2名によるシンクロダンス。 男子が黒い衣装で女子が白という、不思議な世界を現すダンスだ。 最後、それぞれのグループが順に後ろから前へステップしながら 出て踊り、ラスト総踊りになる。 但馬は言った。 「ほぼ完成だね!後は衣装合わせか。 ここまで出来ていれば、心配ないだろう。 それから、決勝用のダンスは誰が作るの?」 部長がそのメンバーを紹介した。 「それぞれのグループのリーダーが1名ずつと、シンクロダンスの 2人を合わせて4名で作っています。 全員でおどれるようなものを考えているそうです。 彼らに新しいダンスを完成してもらうことになっています。」
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