「ぜってえ付き合わない!」

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裳狭は動揺したのか、吉良の方を見られなかった。 「いやいや・・・俺のことかばわなくていいのに。」 「馬鹿か、かばったんじゃないって! あんな言いがかりを真面目にとることないって! 気にするな、モサモサ!! それより、ダンス部にいくんだろ、俺も用事があるから 一緒に行くわ。」 クラスの女子が吉良に目線をくれているのをガン無視して 裳狭と吉良は練習場へと急いだ。 練習場では、もう数人が音楽をかけながら練習中だった。 「ナヤミン先輩、どうしても私ここのステップ躓いちゃう んですけど。」 「どれどれ・・・あ、早く出そうとしてつま先だけ動かしてる。 そうじゃなくて、腰から動かさないと・・・そうそう!」 裳狭は、真剣な練習風景を見ていて、さっきの話はどこかへ 飛んでいってしまったと感じた。 「音楽のクオリティーを上げたんだ。曲は変わってないけど。 新しい音、試してみる?」 裳狭の言葉に、納屋実はうなずいた。 「助かる!!音は体育館だと割れちゃうかもしれないから。 特に大音量でも大丈夫ならいいんだけど!」 「今度は大丈夫だと思う。でもまた体育館で練習する時に、 音確認するよ。」 CDを受け取って、納屋実は笑顔を返した。 「ありがとう!! 裳狭、あの・・・ごめん。なんか、変な話になっちゃって。」 「え?ああ、あれ? 今度ははっきり、ダンス部優勝がかかってるんだから、 文句なら終わってから聞いてやるって言うよ。」 吉良がにこにこしながら言った。 「そうそう、こいつ、度胸なしだからな~! あ、こいつね、これ終わったらおれのバンドに入れるから。 ダンス部にははいんないからな!!」
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