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裳狭は納屋実の言葉に、ドキッとした。
吉良は納屋実にどうも、と丁寧に答えていた。
部長がそれじゃあと皆に声をかけた。
「ナヤミン、決勝戦用の振り付け、考えよう!」
「今なら出来そう!!」
それから何度も何度も、繰り返し流される曲。
ダンス部の全員が、汗だくでステップを踏んでいた。
裳狭はそれをじっと見ている自分が、なんだか恥ずかしくなって
吉良を引っ張って外へ出た。
「なんだよ、練習付き合わないのか?」
「いや・・・なんだか場違いな気がして。」
「え?
そうかあ??モサモサはいい仕事してるじゃないか!」
吉良は裳狭を慰めようとして言った。
「でもダンスを観てるだけっていうのが・・・」
「・・・なんだ、そういうことか。
ナヤミン、綺麗だったよな?」
吉良の真面目な言葉に、どう答えればいいのかわからないと、
裳狭は思った。
「・・・別に・・・」
「そうだよ!別に、気にすることないだろ?
ほら、もう一度練習場へ行こうぜ?」
裳狭は、そうだけど・・・と口ごもった。
「今日は、帰って曲の仕上げする。
他の学校の曲も、あずかっているんだ。
それ、クリアにしなきゃならないし。」
「わかった。じゃ、俺もライブに行くから、ここで分かれようぜ。
じゃあな、モサモサ。また明日!!」
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