「ぜってえ付き合わない!」

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納屋実は裳狭の歯切れのいい受け答えに、いつもとは 違う面が見えたと思った。 「じゃ、また明日!ありがとう、いっぱい考えてくれて。」 「考えることばっかり有りすぎだけどね!じゃ!」 納屋実は、これが裳狭がやる気を出したってことなんだと あらためて驚いていた。 なんか・・・凄い! 今まで、自分なら、時間が無くなってから考えていたような事を、 こんなに早く意見を出してくれる。 「・・・やりやすい・・・」 納屋実は声に出して言って、自分の独り言に笑った。 だって裳狭って、ダンスのことなんかなんにも知らなかったよね? 音楽が好きだって聞いて、私、裳狭にダンス曲を お願いしてたけど・・・ こういうのって、なんていうんだろう・・・ よくわからないけど、裳狭の声を聞いていたら、なんか・・・ 「やる気出た・・・がんばろっと!!」 裳狭は裳狭で、納屋実の話を聞いて、また頭の中を整理できた ことが嬉しかった。 「次は、ゆうき先生と会議だな!」 ゆうき先生は電話の中で裳狭の話にうなずいた。 「わかった。 司会をするのはやぶさかじゃないんだけど、確かに 他校のダンスチームの紹介をスムーズに行うのは、難しいね。」 「先生、ダンスバトルでのチーム紹介って、時間かかりますか?」 「うーん・・・ちょっとだけスタイルにこだわるところがあるね。 どうかした?」 「それが・・・メンバー紹介と音楽をスタートするタイミングって かなりかぶるんです。 あんまりスタートが遅れると、緊張感がなくなるし。」 うんうんとゆうき先生のうなずく声が聴こえた。 「それで、ゆうき先生にスタートの掛け声を統一してもらえたらって。 先生は台本持ちますよね? それ、おんなじの俺も持たせてもらいたいです。」 「わかった。じゃあすぐに作るよ。 納屋実に聞いたの?台本のこと?」 「いいえ?多分ゆうき先生が司会者だから、 作っているかなと思って。」 先生は裳狭がずい分しっかりと全体を観ようとしてると思った。 「裳狭、他校の音楽の編集、大変じゃないのか?」 「いいえ・・・きっとダンス部の誰かがやっていたら、 時間が足りなかったんじゃないかなとは、思います。」
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