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第2章 第1話 「 文化祭ですから! 」
「おお~~~~い!ナヤミン~~!」
吉良が放課後、文化祭の準備が始まった校舎で、衣装に着替えた
ダンス部員を見つけて、呼びかけた。
「練習かあ?どこでやってる?」
ナヤミンが振り向いて手を振った。
「た・い・い・く・か・ん~~~!」
「OK、見に行くわ!」
ダンス部員は、すっかり吉良のバンドと仲良くなっていた。
体育館では、放送室に裳狭と放送部員が準備していた。
ダンス部員が来る前に、他校の音楽のチェックを済ませていた。
ダンス部が練習に専念できるように裳狭は早めに放送部員と
機械その他の確認作業をしていた。
なにしろ体育館は、他の部や文化祭のイベント準備にも使われ、
使用許可がなかなか取れなかったのだ。
ダンス部が並ぶと、ゆうき先生が皆にバトルの流れの確認をした。
放送室の裳狭の手元にも、ゆうき先生の台本があった。
「先生、今日、他校の音楽は聴かせてもらえるんですか?」
部員が質問すると、先生はちょっと頭を振った。
「他の高校と打ち合わせした時、言われたんだ。
K高校でリハーサルする日まで、隠密にってね。
どこの高校も、当日まで絶対見せたくないし、知られたくないそうだ。
だけどリハーサルでは仕方が無いから、せめてそれまでは、
隠せるだけ隠して欲しいそうだ。
・・・裳狭君には、言ってあるから。君達は聴いてないよね?」
皆、残念そうな顔だった。
「それじゃ、第5組のバトル、裾で待っているところ。並んで!
そう、君達は上手側っていってね、舞台に向かって右側だよ。」
舞台の上でどっちかわからなくなった部員に、部長が言った。
「舞台に立ったら、左手側だよ!」
部員はさっと舞台の裾に引っ込むと、2列に並んで先生の合図を待つ。
音楽が鳴り、先生がK高校のチームを紹介すると、
ざっと舞台半分まで出て並んだ。
「よし、みんな、ここはあくまでクールに。
あまり客席側にアピールし過ぎないでくれ。
そして、反対側にR高校が登場する。
R高校チームの紹介が終わると、いよいよダンスが始まる!
聞いてると思うけど、先行はR高校だよ。
なので、R高校が登場する時、舞台の奥の方に下がってくれ。
登場と同時に、R高校はスタート位置に立つから。
これは、出場と退場の時間の短縮の為だったよな?裳狭君?」
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