8人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
第3章 第1話 「 準決勝 」
休憩の間も、K高校の皆は準決勝の準備に忙しく動いていた。
それを観ながら、R高校の女子は言った。
「私達、シード枠をくじで引いた時は、2回だけだからって思ったけど
K高校、やばいよね!あんなにクールだなんて!」
R高校のメンバーはまだ興奮しているのか、席に座って話をしていた。
「なにあれって思った!
だってさ、あの死神バンドだっけ?あのバンドの曲に、ぴったりで
凄かった!鳥肌だったよ!」
「今度さあ、あのバンド観に行こうよ!!」
その、キラ達は、休憩を利用してダンスメンバーを訪ねていた。
「おー!いいノリだったな~!すげー目だってたぞ~!」
「あ、お疲れ様です!え、なになに?」
キラ達が手に持ってきたのは、手作りのクッキーだった。
「文化祭で俺らに作ってくれたの、沢山あるからやるよ!」
「マジで~~~~~!きゃ~~~!ありがと~~!」
みんなが大喜びで食べているのを観ながら、キラが言った。
「モサモサ、上にいる?」
「うん、ずっと放送室。」
キラが放送室に駆け上がると、そこにはぐったりした裳狭がいた。
「おおい、差し入れ~!」
はっと気がついたのか、目を開けて裳狭がそれを受け取った。
「クッキーかあ、サンキュ!あ、そこにウーロン茶があるから
飲んでいいよ。」
ごくごく・・・ムシャムシャ・・・
テーブルの上にはゆうき先生の司会者用台本があり、その横には
裳狭が作った時間とCDのナンバーを書き込んだタイムテーブルの
台本があった。
赤いラインが引かれていて細かい指示が書かれている、その
台本を見ながら、キラが裳狭に言った。
「すげえな、あれだけの音、全部編曲したんだろ?」
「うん・・・」
「そうだよな・・・放送する時に、音の大きさが違うと
舞台上で大変なことになるもんな。
そういうの、経験あったんだ?」
「いいや?
ただこういう放送室の機材って面白いよ。
CDの方は、録音状態をPCで聴きながらやったから別に。」
「なあ、ぶっちゃけ・・・
どこが勝つ?」
裳狭の手が止まった。
「わからない・・・本当に・・・
あ、時間だ、じゃあ、吉良、始まるからまた応援しててくれよ!」
最初のコメントを投稿しよう!