Prologue -1-

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「カイト、脚は大丈夫か!?」 「大丈夫ですリューさん! まだいけます!」 「よし、じゃあ頼んだぜ!」 リューがスローイングで僕の足元へとボールを投げ込んでくる。 容赦のない弾速だ。 しかしリューがその弾速に持たせた意味なら、距離を詰めてきたディフェンダーの姿を視界に入れた瞬間に悟っている。 フィールドにいるのは、敵味方五名ずつの計十名。 サッカーではない。 だがそれでいて、フットサルでもない。 退廃したこの世界に生まれた、新時代のスポーツ競技。 ストリートサッカー。 このスポーツには、時間と得点の概念以外のルールが一切存在しない。 ストリートの文字通りフィールドの作り方なんてものも、存在しない。   ガシャンッ! リューの投げたボールの勢いを殺さず、右辺のフェンスにぶつける。 その跳ね返りを拾えば敵ディフェンダーは置き去り。 センターラインを突破した僕の前を塞ぐのは、左右ディフェンダーの二人と、ゴールキーパーの合計三人。 そして左方のトップでパスを求める、リオ。  
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