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「ヴァヴァッ!」
一瞬の出来事だった。
双頭の狼は、
頭一つ、
身を半分ずつに引き裂かれ、
どっと血反吐を吐き、
左右に倒れた。
ふわりと着地した少女は、
痙攣する獸を見た。
苦しげに息をつく獸の喉から、
風切音が聞こえてくる。
目は虚空を見据え、
すでに白濁していた。
――とにかく……ここを出なきゃ。
少女は獸に引導を渡し、
全裸に浴びた返り血をそのままに、
部屋を出た。
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