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途中、
いたるところに屍を見た。
白衣を着た研究者らしき者や警備兵らしき者。
その亡骸は、
いずれも牙や爪による深い裂傷を受け更にむさぼられて、
夥(おびただ)しい血の池に浮かんでいた。
ここに至るまでも、
二度、
獸に遭遇した。
部屋を出てすぐに出くわしたのは、
大型犬ほどあろうかという鼠だった。
すっかり無毛でケロイド状の肌を露出していた。
色は桃色がかった肉の色で、
顔の中央に目玉が三つ、
正三角形の頂点の様に並んでいた。
その次に遭遇したのは階段の踊り場。
人間の腕が無数に伸びたアメーバ状の獸?とは疑問だが生命体というのは確かな生物で、
それはナメクジの様に壁全体にへばりつき、
ねばねばと壁を伝って動いていた。
伸びた腕は通りかかる人間を刈っていたらしく、
手に手に血まみれの人間の一部を掴んで、
その手同士で奪い合いながら食べていた。
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