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耳の奥で流れるような音がする。
さらさらとしたとしたその音はせせらぎのようでもあり、
手元からこぼれ落ちる砂粒のようでもあり…。
記憶の片隅にあるのは、
リミッターが解除された細胞の慟哭だった。
ーーコロス、
コロス…
恐怖と悲しみが産み出した、
怒りと憎しみが混濁し、
枯れることを知らない声で何度も叫んだ言葉。
自分でも考えられないほど、
狂暴で凶悪な感情が一気に吹き出したのが分かったが、
それを止める理性も、
それを制止するはずのデバイスも狂気に支配された。
ーーうるさい黙れ!
誰か優しい人が止めようとした気がしたが…。
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