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絶望がそれを振り払った、
気がした…。
あの時、
この身は泣いていたのかもしれない…。
巡ってきた感情が静かにそして激しく爆発し、
身体は制御不能に陥り。
本能のままに降り下ろされた刃…。
返り血は、
赤いこうを重ねて四方の壁や床に迸り、
憎しみを薔薇の花弁のように描いた。
その時の私は、
命を奪い取ってしまった罪悪はおろか、
傷つけた事実すら気が付かず…。
刃に身を委ねていた。
その挙げ句の果て、
細胞は戦慄する意識を尻目に、
思う存分に暴れ、
暴れに暴れ、
尽きたらしい…。
それが夢なのか、
現実なのか…。
混濁する意識は一点に凝集し、
後方へと流れていく。
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