プロローグ ~未来の記憶~

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絶望がそれを振り払った、 気がした…。 あの時、 この身は泣いていたのかもしれない…。 巡ってきた感情が静かにそして激しく爆発し、 身体は制御不能に陥り。 本能のままに降り下ろされた刃…。 返り血は、 赤いこうを重ねて四方の壁や床に迸り、 憎しみを薔薇の花弁のように描いた。 その時の私は、 命を奪い取ってしまった罪悪はおろか、 傷つけた事実すら気が付かず…。 刃に身を委ねていた。 その挙げ句の果て、 細胞は戦慄する意識を尻目に、 思う存分に暴れ、 暴れに暴れ、 尽きたらしい…。 それが夢なのか、 現実なのか…。 混濁する意識は一点に凝集し、 後方へと流れていく。
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