第1章 賽は投げられた

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ウゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーー!  申(シン)が言いかけた瞬間、けたたましいサイレンが基地内に鳴り始めた。 「スクラブルだ!」  サイレンを聞いた3人は一斉に立って走り部屋を飛び出した。  部屋を出たそこは巨大な格納庫の内部だった。格納庫内で一際異彩を放つ物がある。それは整備員が集う中心に駐機されたF15Kスラムイーグルである。ここには単座型と複座型の2機が並んでいた。  これらの機体の元は米国のマクドネル・ダグラス社製のF15Eストライクイーグルであり、2002年3月にF-15Kスラムイーグルとして大韓民国空軍に採用配備されて以来、空軍の主力戦闘機となっている。  そう、彼らは韓国空軍所属の戦闘機パイロットである。彼ら3人はすぐさま割り当てられた1人と2人の組に分かれた。それぞれ機体に付けられたハシゴを上り単座型と複座型のF15Kスラムイーグルのコクピットに乗り込む。  HMD(Helmet Mounted Display)システム搭載のヘルメットを被り、整備員の安全確認がとれた機体からパイロットはエンジンを掛ける。  双発のF110-STW-129エンジンの燃焼室にジェット燃料油、圧縮機に空気が注入され排気ガスとともにジェットエンジン特有の唸るような轟音が響き渡った。 「Slam01,Slam02,Order Vector 250,Climb Angels 20, Contact Channel 1, Read back.(スラム01、02、方位250度、20,000フィートまで上昇、チャンネル1でレーダサイトとコンタクトせよ)」  管制官より無線で複座型の1号機パイロットの申(シン)に向けて指令が下る。 「Slam01,Order Vector 250,Climb Angels 20, Contact Channel 1, Read back.(スラム01、方位250度、20,000フィートまで上昇、チャンネル1でレーダサイトとコンタクトする)」  複座型の1号機パイロットの申(シン)が指令を復唱する。
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