第三章 こんなものにも免疫ってあるのか?

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「あんたな、どういう事情でそんな姿になったんか知らんけど、 この坊はあんたを騙した男とちゃうで?坊の顔見てみ? まだ童貞やで。」 僕は飲んでいたお茶を吹いた。 「待て待て、何勝手な事言ってるんだ!適当なことを言ってるんじゃねーぞ!」 疫病神は僕の顔をじーっと見てきた。 「違うとでも?」 そこは標準語なのかよ。僕は「うっ」と返答に詰まった。 疫病神は、当たりか、みたいなニヤケ顔で見てきた。 何だよ、わかった風に。どうせモテませんよ。 すると女は顔を上げ、うんうんと頷いた。 「こら、お前、ちょっと失礼だろ。」 僕は女に向かって理不尽な怒りを感じた。 女性の話によると、さんざん男に貢がされた上に、男は他に女を作って 逃げてしまったと言うのだ。 女は絶望して、あのコンビニの入っている雑居ビルの屋上から飛び降りて 自殺したそうだ。 男を祟ろうにも、どこに行ったかもわからずに、とりあえず 雰囲気の似た男性の姿を追ってしまうそうだ。 信じられない話なんだけど、彼女はド近眼なのだそうだ。 そういう現世でのことって、あの世でも継続するのか。 知らなかった。 女はその話をする間中、メソメソ泣いていた。 ずっと泣き続けて、僕は少し可哀想になってしまった。 「捜して、仕返ししようか?」 僕はうっかりそんな言葉を口にしてしまった。 するとメソメソしていた女の顔が、ぱあっと明るくなった。 意外とかわいい。  僕は言ってしまってから、しまった、と思った。 「坊、安請け合いはあかんで?」 「そうですよ、どうやって捜すんかね?」 僕は神々から窘められ、ちょっと意地になってしまった。 「ねえ、何か手がかりはないの?」 僕は女に向かって話しかけていた。 神々は、やれやれと呆れ顔になった。 「やっぱ坊は、ついてないようや。坊は災難を呼び寄せる才能があるな。」 疫病神に言われ、僕は、お前が言うなよ、と思った。
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