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俯いた女の子は、ようやく自分の本当の気持ちを話し始めたのだ。
最初は仲がよかった友達が急に手のひらを返したように冷たくなり、
彼女を苛めるようになったというのだ。
無視からはじまり、根も葉もない噂を流され、終いには毎日のように
暴力を受けたのだという。
理由もわからず、毎日こんな仕打ちを受けるのなら、いっそ死んだほうがマシ。
そして彼女はビルの屋上からダイブしたのだ。
「それなら、なんでそんな理不尽なイジメを受けたか、確かめに行こう。
それで君は救われるのなら。」
僕はまた余計なことを言った。
やれやれと言う目で神々はまた僕を見るが、やや諦めの境地のようだ。
レイコさんが、遠くからちょっと恨めしげに見ている。
レイコさんは嫉妬深いのだ。
彼女が自殺したのは1ヶ月前。
久しぶりに彼女は自分の学校に来ていた。
そこで彼女は意外な光景を目にする。
彼女が思いを寄せていた男子と彼女を死に追いやるほど苛めた女の子が
手を繋いで歩いているのだ。
何となく苛めの原因がわかってきた。
学校から出て、駅までの道のり、手を繋いでいた二人はその場で別れ、
彼女は繁華街へと向かった。
およそ女子中学生には不似合いなホテル街へと歩いて行き、
彼女はあるホテルへと入って行った。
後をつけてきた僕たちはさすがに、ホテルに入るわけには行かず、
とりあえず貧乏神と疫病神は彼女について行った。
「あの子、とんでもない子やで。ホテルでおっちゃんにお金もろてたわ。
援助交際っちゅうやつやな。」
彼氏がいながら、援助交際か。
僕はどうしようもない怒りを感じた。
自殺したこの子の怒りはいくばくか計り知れないだろう。
その日から、苛めっ子の彼女に、疫病神と貧乏神を張り付かせておいたので、
必然と彼女の身には災いが降り注いだ。
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