第六章 神々の天敵、現る

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疫病神と貧乏神が心配そうに僕を見た。 「坊、何かあったんか?レイコさんは、どないしてん?」 僕はしばらく沈黙して 「レイコさんは・・・・ここの巫女さんに、祓われてしまった。」 神々は顔を見合わせ驚いた。 「なんでまた。まあ、いずれは成仏せなあかんのやけど。」 「成仏、できたのかな。レイコさん・・・・。」 僕の目から信じられないことに涙が一筋流れた。 それを見て、神々は憤慨した。 「乱暴やな。いくら霊が憑いてるからって。 坊が頼んだわけとちゃうんやろ? よし、わしらが行って、ちょっと懲らしめたるわ。」 神々は息を撒いて、よその神社の敷地内というにもかかわらず ずんずんと侵入していった。 「おい、大丈夫なのか?別の神様がいたら追い出されるぞ?」 僕は心配になって後を追った。 すると、境内に先程の美少女巫女が立っていた。 手にはお祓いに使う、大幣(おおぬさ)を持っている。 僕らの姿を確認すると巫女は大幣を振りながら何事か唱えている。 すると、不思議なことに、大幣から白い大きな花びら、おそらく木蓮の花びらが 舞踊り、やがて花吹雪となって、神々を包んだのだ。 すさまじい白い光を放った。 「あかんわ、坊。この巫女さんは只者ではない。 わしらまで祓おうとしおる。ここは退散や。」 僕らは神社から全速力で逃げた。 僕は逃げながら、振り返った。 鳥居の下で、全く表情を変えない巫女がこちらを見ていた。 いったい何者なんだ、あの子。 神をも恐れぬ力を持つ巫女。 でも、このままじゃ済まさない。
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