第一章 僕の守護神が酷い

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僕がそう呟くと 「いや、悪いけど現実やねん。坊な、5歳くらいんとき、高熱出して 死に掛かったやろ?あんとき、ばあちゃんが願掛けしとったよな? あんとき祠におったのがわしやねん。ばあちゃん冗談きついよな。 わし疫病神やのに、孫を元気にしたってくれって、そりゃ無理な話やで。 ほんでも、あんまりにも熱心にお参りしてくれるさかいに、なんか 可哀想になってきてな。わし、ある日ばあちゃんについていって、 坊の病室まで行ってん。ほしたらな、坊の周りには、悪い霊のおっちゃんらが 3人体育座りしとってん。ああ、こいつらの仕業か、そう思ってわし そのおっちゃんらを説得して、元の所に帰ってもうてん。 その次の日に坊は意識を取り戻したんやで?」 どこまで信じていいのだろうか。僕はついについて無さ過ぎておかしくなったのか。 「ほんでな、坊のおばあちゃんが亡くなってから誰一人お参りする人がおらんようなってな。 わしの祠は荒れ放題なってある日、わしが祭られとった祠が、雷で焼けてもうてん。 わし、帰るところ無くなったさかいにな、しゃあないから坊んところにお世話になっとったんよ。」 僕は怒りが沸々と沸いてきた。 「じゃあ、僕が病気がちだったのも、お父さんが左遷されて 会社が倒産したのも、お前の所為なのか?」 疫病神は、しまった、という顔をした。 「ま、まあ、多少は影響してるんかな?あ、でもわし程度の低級な疫病神やから そんなもんで済んでてんで?もっとごっつい疫病神やったら、エライことになってるわ。」 しれっとそんなことを言う。 「ふざけんなよ、お前のおかげでどんなに苦労したことか。 じゃあ、友達が借金踏み倒して逃げたのもお前のせいか!」 僕は疫病神ににじり寄った。 「坊、そ、そりゃわしの所為ちゃうで。こっちの貧乏神のせいや!」 突然わが身にふられたもう一つは、鳩が豆鉄砲を食らったように驚いた。 「いやいや、あんたらが勝手に私の住処に乗り込んで来たんよ。 私はあんたらが越して来たあの家に元々住んじょったんじゃけえ。 あの家には、元々、小さい神棚があったじゃろう?あんたらあれを そのまま使いよったじゃろ。」 ああ、あの小汚い神棚か。 あんな物は早く処分すればよかったのだ。 それでうちは貧乏になったのか。
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