第一章 僕の守護神が酷い

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「で?なんで着いてくるんだよ、お前ら。」 神様同士は顔を見合わせた。 「坊はな、自覚は無いかもしれんけど、実は憑かれやすい体質やねん。 坊の両親はそうでもないけど、あんたは幼い頃から憑かれやすかった。 坊は時々、原因不明の熱を出したりしたやろ?あれ、霊のせいやねん。 わしら、その度に、そいつら説得して帰ってもらってん。 坊は自覚ないから、自分でなんとかでけへんやろ?」 貧乏神のほうも、うんうんと頷いた。 「なんで疫病神と貧乏神が僕を守るんだ。 疫病神や貧乏神は人を不幸に陥れるのが 仕事じゃないのか?」 僕は意地悪く言った。 「心外やなあ。疫病神や貧乏神を見くびらんといてや。 疫病神や貧乏神が全部が全部極悪やなんて思わんといて。 わしは、アンタのおばあちゃんに頼まれてん。 孫を頼みますと。疫病神とは知らずに、そりゃあ熱心に拝みはった。 わしは、坊のおばあちゃんの熱意に打たれてん。 山口までついてきたら、引越し先にたまたま貧乏神がおって 最初は喧嘩ばかりしとったけど、あまりにも坊が憑かれやすくて弱いから 協力して守ってくれって頼んだんよ。 でも、まあ、わしらも疫病神と貧乏神やから、多少は坊の暮らしに 影響は出るわいな。」 さっきから聞いていれば勝手なことを。 「誰が守ってくれって言った!疫病神と貧乏神を信用しろってほうが 無理だろう!出て行け。今すぐ!僕の部屋から出て行ってくれ!」 二人の小さなおっさん神たちは、目を白黒させて驚いた。 「出て行けって、そんな殺生な。」 「今までずっと一緒に暮らしてきたじゃろう。 私達、心配でずっとあんたについておったというのに。」 二人のおっさん神は泣きそうな顔になった。 「一緒になんて暮らしていない!少なくとも僕は今日まで知らなかった。 どうりで運が悪いし、貧乏なはずだ。出て行け!ここから出て行け! 二度と戻ってくるなあ!」 僕が叫ぶと、二人のおっさんはとぼとぼと、こちらを振り返りながら ドアからすうっと出て行った。 僕自身は僕が守る。 何が守るだ。疫病神と貧乏神のくせに。 わけがわからない。 あの小さいおっさんたちが路頭に迷おうが関係ない。 知ったことではない。
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