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「私からもお願いします。あの子は、素直ないい子なんです。
ただ、幼い頃から憑かれやすい体質っていうだけで、あの子は苦労してきました。
今までずっと微力ながら、私らあの子を守って来たつもりなんです。
お願いします。荒神様、お力をお貸しください。」
二人のおっさんの土下座に荒神様は呆れ顔だ。
「うぬら、本当に疫病神と貧乏神なのか?
呆れたやつらだ。でも、うぬらの熱意に免じて
願いを叶えてやろう。」
そう言うと、荒神様はどんどん巨大化していった。
見る見る空いっぱいになり、入院している病院の方へ大きな腕を伸ばした。
指で、ヒョイと坊の病院に憑いていた死神の頭を掴んだ。
死神は驚愕の表情を浮かべ、怯えていた。
荒神様は死神をつまみ上げ、大きく口を開け、一口でパクリと飲み込んでしまった。
「さすが、荒神様やで。」
二人のおっさん神たちは、荒神様の力に畏怖の念を覚えた。
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僕は意識を取り戻した。
疫病神と貧乏神は、それを見届けると安心して、
病室から出て行こうとした。
「お前ら、行くとこあるのか?」
僕が弱々しく言う。
「大丈夫や。わしら神様やで?仮にも。」
「まあ、またどこかにこっそり住まわせてもらうよ。」
二人は口々に強がりを言った。行くあてなどないのに。
「もしかして、今回もお前らが助けてくれたの?」
二人は黙っていた。
「まあ、行くとこ無いんなら、置いてやってもいいよ。」
おっさん神二人は驚いて振り向いた。
「ええんか?坊。一生ついてないし、貧乏やで?」
「元々じゃないか、そんなもの。」
僕は満面の笑顔でそう答えたのだ。
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