2人が本棚に入れています
本棚に追加
そう、これは女子大生田中さんと隣の私の物語。
「田中さん、やっぱラスト間に合いそうにないわー」
「店長、一回でいいんで藤村くんと一緒に私に謝罪してください」
「ありがとう田中さん大好き」
「………」
うん。
人生は色んなことがある。
楽しかったり楽しくなかったりするけど、意味ないことなんか何にもなくて。
うん。
そりゃあ未来の自分に忠告を受けることもあるのかもしれない。
彼女の忠告がこの10年間の過ごし方へ影響を与えたとは言い難いし、妊娠・中絶を避けることだってできなかったけど、
今の私の在り方を変えることくらいはできているような気がする。
気がするだけかもしれないけれど。
そう、私はどこにでもいる普通の大学生。
普通の大学生よりちょっとストイックで、ちょっと働き過ぎで、ちょっと命を粗末にした普通のハードワーカー。
楽しいことも、楽しくないことも
きっと私の実になるし、いずれは熟して種となる。
10年前の私に伝えたい。
間違ったっていいんだよ。
嬉しいも、悲しいも全部――――全部、あなたを育てるための水となる。
*
田中さんと隣の私
終.
最初のコメントを投稿しよう!