隣に越してきた田中さん

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そう、これは女子大生田中さんと隣の私の物語。 「田中さん、やっぱラスト間に合いそうにないわー」 「店長、一回でいいんで藤村くんと一緒に私に謝罪してください」 「ありがとう田中さん大好き」 「………」 うん。 人生は色んなことがある。 楽しかったり楽しくなかったりするけど、意味ないことなんか何にもなくて。 うん。 そりゃあ未来の自分に忠告を受けることもあるのかもしれない。 彼女の忠告がこの10年間の過ごし方へ影響を与えたとは言い難いし、妊娠・中絶を避けることだってできなかったけど、 今の私の在り方を変えることくらいはできているような気がする。 気がするだけかもしれないけれど。 そう、私はどこにでもいる普通の大学生。 普通の大学生よりちょっとストイックで、ちょっと働き過ぎで、ちょっと命を粗末にした普通のハードワーカー。 楽しいことも、楽しくないことも きっと私の実になるし、いずれは熟して種となる。 10年前の私に伝えたい。 間違ったっていいんだよ。 嬉しいも、悲しいも全部――――全部、あなたを育てるための水となる。 * 田中さんと隣の私 終.
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