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「おはよう、めぐみちゃん」
「お帰りなさい、田中さん」
ちぐはぐな挨拶も板についた三か月目。
今日も田中さんは夜勤明けだ。
「今日はデート?」
ニヤリ、と笑った田中さんに、私は苦笑して返す。
先月付き合っていると言った初彼とは、性格が合わなくて数日前に別れた。
そんな私を彼女は盛大に笑って、うんうん、そうだよね、と何にか分からないけれど共感している。
「中学生の恋愛はサイクルが早いし短いし。でも、今の内だからね」
「そんなぁ。長く付き合ってる子もいますよ」
「はは、ごめんね。そうだよね」
「田中さんは、彼氏いないんですか?」
「彼氏?いないんだな、それが」
別れたばっかり。
田中さんの【別れたばかり】がどのくらい前のことを示すのかわからない。
でも、少なくともこの三か月はいないだろう。
そんな暇はなさそうなくらい、彼女はハードワーカーだから。
大学生がどのくらい学校に行くのか知らないけど、週6で夜勤アルバイト。
睡眠時間を考えてみたら、デートすらままならない。
「別れたのはそれが原因じゃないんだけどね」
今度は彼女が苦笑いだ。
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