隣に越してきた田中さん

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* 「おはよう、めぐみちゃん」 「お帰りなさい、田中さん」 ちぐはぐな挨拶も板についた三か月目。 今日も田中さんは夜勤明けだ。 「今日はデート?」 ニヤリ、と笑った田中さんに、私は苦笑して返す。 先月付き合っていると言った初彼とは、性格が合わなくて数日前に別れた。 そんな私を彼女は盛大に笑って、うんうん、そうだよね、と何にか分からないけれど共感している。 「中学生の恋愛はサイクルが早いし短いし。でも、今の内だからね」 「そんなぁ。長く付き合ってる子もいますよ」 「はは、ごめんね。そうだよね」 「田中さんは、彼氏いないんですか?」 「彼氏?いないんだな、それが」 別れたばっかり。 田中さんの【別れたばかり】がどのくらい前のことを示すのかわからない。 でも、少なくともこの三か月はいないだろう。 そんな暇はなさそうなくらい、彼女はハードワーカーだから。 大学生がどのくらい学校に行くのか知らないけど、週6で夜勤アルバイト。 睡眠時間を考えてみたら、デートすらままならない。 「別れたのはそれが原因じゃないんだけどね」 今度は彼女が苦笑いだ。
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