地球最後の日

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突然惑星が地球の隣に引っ越して来てから、丸一日が経った、昼夜、空は朱色に染まったままだった。 当初怖がっていた、近所の人達も、ぼちぼち外に出てきだした。 しかしテレビは全て、惑星の特番で持ちきり、学校と会社も休みの所が多い。 オレも、会社を休む事にした、行ったところで仕事があるか疑わしいし、惑星が来てから、ろくに睡眠を取ってない、まあテレビとネットに釘づけだったからだが、分かった事といえば、惑星は太平洋上空約5万㎞の位置に停止しており、沈黙を守っている、各国首脳はせわしく対応に応じている。 まあ、これから徐々に全貌が解き明かされていくのだろうが。 さてと、寝るかな、溜まった部屋のゴミをゴミ捨て場に置きに行った帰り、オレは歌声を聞いた。 「なーななななー♪ななななー♪」 と、その女性は唄いながら朗らかに近付いてきた。 「ななななーなな♪ななななー♪」 愉しげに歩む、その姿にオレは、このご時世になにがこんなに楽しいのかと怪訝に思った、そして彼女はオレの前で立ち止まり、まるでヒロイン気取りで満面の笑みを見せた。
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