4人が本棚に入れています
本棚に追加
なるほど、ここまでちゃんとした設定だと、悪くない、普通に面白い、オレはSF小説は好きだから、それと同じだと考えれば、少しなら付き合ってあげても構わないと思った。
オレは質問を追加した。
「その未知のエネルギー源っていったいどんなの」
すると彼女は少し開けた口から、
パンッパパンッ
と、まるで柏手を打ったような音を発した。
「おお」
オレは器用だな、と思った。
「人類の発音だとこんな感じです、それは時空間の位置エネルギーみたいな物で、非常に稀に、ある特定の宇宙空間に出現する湧水みたいな物なのです、100万年掛けてやっと見付けた、と申しております」
おお、大した設定だ、オレは感心した。
「なるほどね、その未知のエネルギーが欲しいんだ、良く解らないけどそれは地球に迷惑が掛かるのかい、そのエネルギーを得るために」
オレはパンッと手を叩いた。
「はい、エネルギー取得自体は地球には無関係なのですが、今の位置に惑星を停めておく必要が有ります、およそ200年」
気の長い話しだな。
「その際、太陽光からの熱エネルギー不足により、おそらく地球は50年後には、氷河期に突入します」
おお、面白、つまり規模のデカイ日照権争いってやつだ、オレは既に、この設定ゲームにのめり込んでいた。
「断ってもいいの、また引っ越してもらう事になるけど」
氷河期になるのはちょっとね、オレは寒いのは嫌いなのだ。
「はい、パンッパパンッは非常に稀で別の物を見付けるのに、また1万年はさ迷う事になるでしょうけど、その答えが潜孝の末に人類の出したものならば致し方有りません」
素直に、立ち退きに応じてくれて、オレはほっとした。
最初のコメントを投稿しよう!