地球最後の日

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「しかしながら、私の干渉が無くても、この地球は氷河期に入っております、200年後には略全ての海面は凍りつくでしょう」 オレは少し驚いた、確かに氷河期に突入したという事は聞いた事がある、にわかに信じられなかったが。 「さらに悪いことに、植物資源枯渇により各地で戦争が起こり、やがて大国同士の核戦争になります、そして本格的な氷河期到達前に人類は、いや、地球は滅亡するでしょう、その確率は」 いつの間にか聞き入ってしまっていた、オレは固唾を飲んだ。 「99%の確率で30年以内に起こります」 オレはなにも応えられないでいた。 「私を受け入れて下されば、人類が氷河期を乗り越える為に協力を惜しみません、氷河期が終わる1万2千年間、地球に留まっても構いません」 なるほど、その協議の為にオレの元に、君は、いや惑星はやってきたというのか、この二者択一をオレに答えろと。 「ふふふ、ふははは」 オレは笑った。 「面白い、いや本当に面白かったですよ蘭堂さん、貴女、大したもんだ」 オレは未経験の設定ゲームを楽しんだ。 「今日の協議はここまでにしましょう、まだ時間は有ります、考慮をお願いいたします、と申しております」 ちゃんと終わらすところもなかなか、オレは感服した、時計を見れば2時間経っていた。 「では、今日は帰りますね、また明日お伺いしてもよろしいですか」 ニッコリ微笑んで彼女は言った。 なんか嬉しかった、オレは蘭堂さんが気に入った。 「いつでもいらして下さい」 オレも微笑を返した。 「ありがとうございます」 そう言って、玄関の外まで見送る、ってもお隣さんだけど、その時彼女が思い出したように訊いてきた。 「あ、最後に惑星さんが有機資源確保のため海の水を少し頂きたいがよろしいか、と申しております」 オレは微笑みながら頷いた。 「はいはい、どうぞお好きなだけ、それじゃお休みなさい」 彼女は手を振って隣の部屋に入っていった。 オレはニコニコさせたまま、朱色の空を見上げた。
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