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次の日の朝、テレビを付けてオレは驚いた、
その映像を一目見ただけで分かった。
「これ、まさか昨日の」
ニュースキャスターが繰り返し叫ぶ。
「ご、ご覧下さい、海の水が、吸い上げられています、これは自然現象なのでしょうか、それとも惑星が故意にやっている事なのでしょうか」
ヘリからの映像だろうか、細いロート状の竜巻が惑星へと続いていた、かなり遠くから撮影しているらしく、どのくらいの量の海水が吸い上げられているのか、詳細は不明だったが。
信じられない、絶対偶然に決まってる、オレは昨日の設定ゲームを思い返していた。
慌てて、自室を飛び出して、蘭堂さんの部屋のドアを叩いたのであった。
ドンドンドンッ
「ら、蘭堂さん、蘭堂さん」
反応が無い、あいにく留守のようだ、しかしその時、聞き覚えのある、あの歌声が聞こえてきた。
「なーななななー♪ななななー♪」
オレはタイミングの神に感謝した。
「ななななーなな♪ななななー、ん!」
相変わらず愉しげな蘭堂さんは、早速オレを、見付けて駆け寄ってきた。
「あ、中川さん、見て、見て、これ見て」
オレも昨日のような偏見はもう無かった。
「いいでしょ、これ!」
よほど見せびらかしたかったのか、艶々に磨かれた10本のその指先をピンと開いてオレに向けた。
「ねえ、いいでしょ!ネイルサロンに行ったの、私これ、やってみたかったの」
淡いピンクにオレンジ色のハート模様の爪が、か細く白い手指と相まって、とても愛いらしかった、爪の模様はきっとこの空を模したのだと思った。
「うん、とっても、か、素敵です」
なんだろう、変に意識してしまう。
「ありがとう、嬉しいです」
彼女は、幸せそうに微笑んだ。
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