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今、あの子に会えば、僕の心は満たされるのだろうか。
会いたい。君の頬に触れたい。
だが、これは僕の妄想である。
現実の彼女は、僕の名前も知らないだろう。
好きな人だっているのかもしれない。
1年1組と、1年2組の、数字の壁。
クラスの違いが僕達の接点を無くしている。
隣。
そう、隣だ。
3ヶ月前になるだろうか。
同じマンションの、僕が住んでいる部屋の隣に、彼女の一家が引っ越してきた。
だけど、挨拶なんてしたこと無い。
あの子は、合唱部の朝連のために、毎朝7時に家を出る。
美術部の僕がその時間に家を出るのは不自然だ。
きっと、僕が隣に住んでいることも知らないのだろう。
でも、どうしようもなく、僕は君と言葉を交わしたい。
僕が声をかけて、君が応えてくれたら、どんなに幸せだろうか。
でも、現実は僕が君の声を聞くだけだ。
今も、僕は君の声を聞くことを望んで、ただこうして待っている。
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