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その放送の前日、彼女がどんな目に遭ったのか。
多分、他の家にも聞こえたんじゃないだろうか。
「お前なんか生まなきゃ良かったんだよ」
「役立たず、クズ」
「恩知らずなんだよ、お前は」
「毎日遊んでやがって。誰が金払ってると思ってんだ。少しは家の役に立てって言ってんだよ」
次の日から、ラジオ配信の頻度が大幅に減った。
あの子は放課後、合唱部の練習には参加せず、夜までアルバイトをするようになった。
もちろん、深夜までは働いていない。
ただ、余計に僕との接点が失われてしまっている。
配信はあるバイトの無い日。もしくはあるバイトから帰って、家に一人でいるときだけのようだ。
僕は、今も、こうして笑っている彼女の声を聞く。
<ねえ、大丈夫?>
『え?』
気がつくとそうコメントしていた僕の文字を読み上げ、彼女は固まった。
『な、何言ってるんですか? いきなり? ……もう。意味分かんない』
困ったように笑う彼女の声に、僕はたまらなくなった。
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