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彼女を助けたい。
だが、僕に何が出来ると言うのか。
僕は、ただの、高校生だ。
その時、廊下の外でバタンと言う音がした。
隣の家の、あの子の親が帰って来た音だ。
『えと、ごめんなさい。親が帰って来たので、放送終わります。ごめんなさい!』
放送終了の文字と共に、彼女の声が消える。
彼女が、ああして笑えるのは、本当に、僅かな時間なのだろう。
「ごめんなさい」
僕は言う。
僕は君を助けることが出来ない。
そればかりか、自分の寂しさのために、君に会いたがっている。
恐らく、助けたいというこの感情も、恋じゃないんじゃないかと思う。
「ごめんなさい」
僕はもう一度、そう言った。
君は、きっと、僕とは比べ物にならないほど大人で、僕以上の傷を持って生きている。
僕は君を助けることが出来そうに無い。
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