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○
「僕が君を好きだと言ったら、君は笑うだろうか」
僕はそう言うと、再び目を閉じた。
涙は流れない。
僕は何時間もこうして、スマートフォンを握り締めている。
すでに深夜。
僕は眠ることが出来ない。
今日も隣の家では怒鳴り声が聞こえていた。
独り、僕は静かに、無力な自分を呪う。
僕は、子供だ。どうしたって子供なのだ。
彼女が怒鳴り声を浴びている時に、助けに行ければ、果たして僕の心の葛藤は解消されるだろうか。
ただ、そうしたところで、僕ごときが何が言えるのだ。
僕は無力だ。
どうしたって、行動することが出来ない。
胸が苦しい。
それでも時間がすぎて、僕の痛みなんて関係なく、朝へ向かっていく。
次の日も、僕は彼女に会えなかった。
そればかりか、全てが終わりに向かっていたのを、僕は知ったのだ。
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