ヤマダさんが来る理由

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────僕の右隣に、女の子が引っ越してきた。 彼女はとても不幸な子みたい。背中にそう書いてあるんだ。 間違いない、きっと不幸さ。 この“アパート”をよく訪ねてくるヤマダさんが言うには、 “こんなに泣ける話はない”って。 大好きな人に何度も裏切られて、傷付いてばかりなんだってさ。 それなのに彼女はずっと、その人のことが好きなんだって。 僕は、“ふうん”と思うだけだ。 自分はバケモノだから、愛してくれる人も居ない。 ヤマダさんは、 何故かそんな僕を“キモチ悪くてカワイイ”って、よく遊びに来てくれるけれど、 他の人たちは皆、ただ僕をバケモノと囃し立てては石を投げつける。 あんまり辛くて、悲しくて… それでつい、 左隣に住む“コロシヤさん”に 『あいつらをコロシテよ。』ってお願いしてしまったことがあるんだ。 彼は、『誰彼なしにはコロサナイ。』と言った。 ヤマダさんは嘘つきだ。 「彼はね、どんな依頼もこなす凄腕なの。 あの、クールでちょっと怖い感じがたまらないのよねー。」って言っていたのに。 でも今は、断ってくれてよかったって思う。 ところで、ヤマダさんはどうしてあんなに彼を気に入っているのだろうか。 怖いのに好きだなんて、本当に変わってる。
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