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……さすが、若くして課長になっただけあるわよね。
私は出来あがった書類をまとめながら、ちらりと課長を見た。
すごいスピードで仕事をこなす姿に出来る男は違うと思う。
隣のデスクの山本も少しは課長を見習って欲しい。
私は書類を持って行く為立ちあがった。
フロアの周りの電気は消されうちの課だけ点けられた電気の下、課長の銀縁眼鏡がパソコン画面の光を反射して異様な雰囲気を醸し出していた。
それでもすっと伸びた鼻筋にキュッと結ばれた口元が、やはりかっこいいと思う。
「課長、出来ました。確認お願いします」
「あぁ、ありがとう」
画面を見ながら伸ばされた手に書類を渡し、デスクへ戻ろうとした私に後ろから声が掛った。
「あぁ、雪野」
「はい?」
「山本の所に缶コーヒー置いたから、それ飲んでてくれ」
「えっ!?」
いつの間に!?
あ、もしかして、課長がデスクに居なかったあの時かな?
……コーヒー、買いに行ってたんだ。
しかも私の分まで……
「ククッ、気がついてなかったんだろ?お前は集中力凄いからな」
くつくつと肩を揺らしながら、でもその目は真剣に画面を見つめている。
「……いただきます」
呟いた私に、はいどうぞ、と返事が返ってきた。
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