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それから私は缶コーヒーを頂きながら、今の仕事とは別の、明日朝一から取りかからなければならない仕事の下準備を始めていた。 少しでもやり始めていれば翌日のエンジンが掛りやすい。 書類なんかも出しやすい所へ準備して。 ……これで明日出勤してからすぐ出来る! よしよしと心の中で頷いた。 別に仕事を生きがいにしているわけではないけれど、今日みたいに急な仕事を頼まれて残業になっても困らないおひとり様だから。 必要とされると嬉しくて、しかも課長に頼まれるなら尚更で。 もう一度デスク周りをチェックした所でくつくつと笑い声がした。 「雪野、もう帰れるか?」 「えっ!?あ、か、課長、終わってたんですか!?」 「あぁ。お前から貰った書類確認して最後だったからな」 「え、そうだったんですか!」 うわー、課長私待ちだったんだ! 慌てて荷物を手に駆けよれば、課長はフロアの電気を消した。 エレベーターに乗り込んで、小さな空間に2人きりなのを意識してしまう。 「雪野、この後時間あるなら飯食いに行かないか?残業頼んだお礼だ」 見上げた傍らの課長は眼鏡の奥を細めた。
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