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褒められるなんて嬉しいけど照れくさい。 しかも、課長の言うことは、きっとみんなやってる事だと思う。 「いいや、お前の笑顔は他の女性たちの何倍も可愛いからな」 ふっと笑った課長は眼鏡をしていないせいか、いつもよりも柔らかくて。 ……今日は課長の知らない顔ばっかりだ。 赤くなる頬に空いた手を当てた。 「雪野と年が近いヤツらが可愛いと騒いでいたから俺は遠慮してたんだが、デートもろくに誘えるヤツがいないなら、俺はもう遠慮しねーぞ」 いつもと違う口調に、私の手を握った課長の大きな手が力を込めた。 こういう場合は、何て返事をしたらいいんだろう。 こんな風に言われた事は無くて、恥ずかしくて照れくさくて、でも、凄く嬉しくて。 ただ課長を眺めてときめいていた心が、もう一歩前へ踏み出した。 「あの、……私なんかでよければ」 「こら。なんか、じゃない。雪野、お前が良いんだ」 目がちかちかする。 嬉しすぎて、目が回りそうだ。 夢みたいだと思うけど、手に込められた力が現実だと言っている。 それから店を出るまで、私の手は握られたままだった。
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