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「なあに、気合い入れて」
ハッとして見ると、クスクスと笑いながらゆき乃が立っていた。
「ゆき乃、いつからいたの?」
「今よ」
(うわぁ、ガッツポーズ見られた。恥ずかしい)
「ねぇ、ゆき乃。今日ってどこか行く?」
「特に予定はないけど」
「じゃあ私さ、宿題やる」
「うん、そろそろ言わなきゃって思ってたから、自分から言ってくれて嬉しい」
ゆき乃はにっこりと微笑んだ。
もっと褒めてもらえると思っていたましろは、唇を尖らせる。
「ゆき乃に手伝ってもらわなくてもできるから」
「そう、偉いわ。じゃあ私は出かけてくるからね」
「え?」
確かに褒めてはもらえたが、予想外のゆき乃の答えにましろはうろたえた。
「私が帰るまでに今日のページまで終わらせておいてね」
「ええ! ゆき乃、何時に帰るの?」
ましろは時計を見た。今は午前11時だ。
「んー、お友達に会うから、そうね、夕方までには帰れると思う。お昼は用意してあるから光流さんと食べてね」
「光流と?」
「ましろの知りたいことは光流さんが知っているから聞いてみたら? あまりお話してないでしょう?」
「ああ、うん」
確かに光流は忙しく、あまり話す機会がない 。そのために、どのように接していいのか分からなくなり始めている自分がいた。
「宿題が終わったら明日はお出かけしようね」
そう言ってゆき乃は笑顔を残して、出かけて行った。
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