八月、入道雲と夕立ちのある日

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「なあに、気合い入れて」 ハッとして見ると、クスクスと笑いながらゆき乃が立っていた。 「ゆき乃、いつからいたの?」 「今よ」 (うわぁ、ガッツポーズ見られた。恥ずかしい) 「ねぇ、ゆき乃。今日ってどこか行く?」 「特に予定はないけど」 「じゃあ私さ、宿題やる」 「うん、そろそろ言わなきゃって思ってたから、自分から言ってくれて嬉しい」 ゆき乃はにっこりと微笑んだ。 もっと褒めてもらえると思っていたましろは、唇を尖らせる。 「ゆき乃に手伝ってもらわなくてもできるから」 「そう、偉いわ。じゃあ私は出かけてくるからね」 「え?」 確かに褒めてはもらえたが、予想外のゆき乃の答えにましろはうろたえた。 「私が帰るまでに今日のページまで終わらせておいてね」 「ええ! ゆき乃、何時に帰るの?」 ましろは時計を見た。今は午前11時だ。 「んー、お友達に会うから、そうね、夕方までには帰れると思う。お昼は用意してあるから光流さんと食べてね」 「光流と?」 「ましろの知りたいことは光流さんが知っているから聞いてみたら? あまりお話してないでしょう?」 「ああ、うん」 確かに光流は忙しく、あまり話す機会がない 。そのために、どのように接していいのか分からなくなり始めている自分がいた。 「宿題が終わったら明日はお出かけしようね」 そう言ってゆき乃は笑顔を残して、出かけて行った。
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