空飛ぶひよこ

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空に投げた紙飛行機を思い浮かべてほしい。 頂点に達した紙飛行機は、次に頭を下にして回転し急速に落下する。 それと全く同じ格好でアラカナの機体は地面に引っ張られた。 『うわああああ!』 アラカナの頭の中が真っ白になる。 が、そこに一本の無線の音声が割り込む。 『訓練通りにやれ』 至極冷静なスタブの声だ。 気が付いたアラカナは回転の方向を把握し、機体の姿勢を制御した。 全力でプロペラを回す。 操縦桿を握り締める。 視界が落ち着いた。 ここだ! 操縦桿を引いた。 機体が安定する。 ブラックアウトしかけた景色に色が戻り始めた。 気付くとすぐ正面でドラゴンフライが突っ込んでくる。 機体を持ち上げながら機銃の引き金を引き絞る。 弾痕が扁平な頭の下から上へなぞった。 落下するドラゴンフライの上を通りこし、アラカナは呼吸を荒げる。
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