0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「こんにちは!」
突然声をかけてきたのは一人の青年だった。
どうやら隣に引っ越してきたらしい。
聞けば地球という星の人間という存在だったという。
「どうして此処に?」
「呼ばれたんですよ。で、少しここで待ってろって。」
「随分素直なんですね。わからないものに従うなんて。」
「それが、わからないんですよ。でもそれが正しいと思えたんです。」
( おかしなヒトだ…。)
そう思いながらも私は彼との会話を一日中楽しんだ。
そして次の日の黄昏時。
「お世話になりました。」
それはあまりに唐突な別れの挨拶だった。
昨日の今日でもう引っ越すのか?
此処は彼には合わなかったのだろうか?
「実は急に呼び出されてしまって。せっかく仲良くなれたのに…。」
「そうですね…。」
だが、此処ではよくあることだった。
しかし、やはり寂しいものである。
何処へ行くのかは聞けなかったけれども
「また、逢えるといいですね。」
自然と出た気持ちだった。
すると彼は
「えぇ、どんなカタチでかはわかりませんが…また、逢いましょう。」
そう言って彼は夜に旅立った。
その数日後。
なんと私は彼と再会したのだ。
彼の言った通り、違うカタチで。
「ははっ!元気そうでなによりだよ。」
そう言って手をとり微笑んだ。
古いのか、新しいのかもわからない
誰かが遺した、何処かの世界の
一冊の、物語に。
最初のコメントを投稿しよう!