父と子

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思春期の、まだ大人になり切れていない、心理的に不安定な時期の香澄の言葉は、平井君の胸をどれほど残酷に抉り抜いた事だろう。 その後、バイク仲間も、避ける……とまではいかないが、何となくよそよそしくなったらしい。 傷物に触れる、みたいな、どのように扱ってよいか、持て余しているような態度。そんな素振りに気付かないフリをして、今までと変わらぬ態度で接し続けた平井君。 それがどんなに辛かっただろうか……考えるまでもない。 「頭を上げてくれ、平井君」 平井君の話を全て聞き終わり。俺まで、胸が締め付けられる思いだった。 こんな思いをした彼をこのままの体勢にさせておくのは、尚更申し訳ない。 説得の末、ようやく顔を上げてくれた。涙でぐちゃぐちゃになってしまっている顔を見るのが辛かったが、視線はそらさないよう努めた。 「平井君は本当に何も悪くない。それを言うなら、悪いのは俺だ」 「なんで……っすか……っ、斎…藤ざんは……ぅ、ずっとこっちにいて……何も……」 「こっちにいたから問題なんだよ。今回の事は、俺に責任がある」 宥めながら、俺はある出来事を口にする。それは、ずっと、誰にも告げず、内に秘めていた事。
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