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七
「キミが、桜川さんだね?」
アリスの葬儀が終わり、下宿先のアパートへ帰るために電車を待っていた時だった。
夕暮れの駅のホーム。わたしもその若い男も、喪服姿だった。
「そうですけど。……あなたは?」
「やや、すまない。申し遅れた。ぼくは笹山という。キミたちと同じ大学の三年だ。オカ研の部長を務めてる。よろしく」
男は親しげに右手を差し出してきたが、わたしは無視した。
「いや、ハハハ……」
行き場をなくした右手を、男は自分の後頭部に持って行った。照れ臭そうな愛想笑い。オカ研所属、というわりには爽やかそうな印象だ。さぞかしモテるんだろう。わたしは嫌いだが。
「急になれなれしかったかな。ごめんごめん、性分なんだ」
「ご心配なく。わたし、男の人苦手なんです。あなただけじゃなく、全般的に」
「……あ、あぁ、そういうことね……ハハ」
なにが「そういうこと」なのかわからないが、笹山は一人納得したように「うんうん、なるほど」と頷いていた。
「オカルト研究会の部長がわたしになんの用です? その様子だとアリスの葬儀にも出席してたみたいですけど……。いくらアリスが死に場所に選んだのが校内だったからって、関係ない人がいきなり出席していいものじゃないと思いますよ?」
てっきり物見遊山で葬儀に紛れ込んできた部外者だと思い込んでいたわたしは、そう冷たく言い放ってやった。本来なら、問答無用で殴り飛ばしてやっているところだ。
……しかし。
「ひどいな、部外者なんかじゃないよ。あれ? 聞いてないのかい? 入谷さん、亡くなる一週間前からオカ研の部員だったんだよ?」
男から返ってきたその言葉は、信じがたいものだった。
「え? ……う、嘘」
「嘘なんかじゃないよ。直筆の入部届だって控えてある。必要なら見せたっていい」
「……そんな」
「不思議そうな顔をしてるね? ……実はぼくも、ずっと疑問に思ってるんだよ。あんな真面目そうな女の子が、どうしてオカ研なんかに興味持ったのか。これを見てくれるかい?」
そう言って、スマホをわたしに手渡してきた。インターネットのブラウザが立ち上がっていて、何かの掲示板のような画面が表示されている。
「これは?」
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